できる社員は「やり過ごす」

Isao2004-02-21

●著者:高橋伸夫日経ビジネス文庫)
●お奨め度:☆☆☆☆

                                                                                          1. +

●ヘッドライン:
能力・業績主義人事システムの問題点と矛盾点を基にその経営方法に疑問を投じ、日本型経営手法である年功序列人事システムに対する見直しを迫る。

●キーメッセージ:
人事システムに対する意識調査で20代の従業員が自社の人事制度が年功序列的であると回答したのに対し、40代の従業員が能力・実力主義的であると回答。実態としては、ヒラ社員の20代は給与格差が少なく、能力と報酬が結びつき難い背景があり、一方、40代となると課長・部長のライン職に就く年代であり、また全ての従業員がライン職に就けるわけではないので、ライン職に就くものとそうでない従業員の間で起こる給与格差の背景がある。
つまり日本の伝統的な人事システムも完全な年功序列システムは存在していないというのが著者の見解で経営難をきっかけすとする給与カットを目的とした能力・実力主義の導入は本末転倒であると論じ、従業員の転職きっかけは、報酬・職場環境の短期的な事由でなく、会社方針と将来性の長期的な事由が多いことから、経営側は優秀な従業員を確保する為、安易に能力・実力主義で給与待遇の差別化を図るのではなく、従業員に対し見通し(戦略・方針)を明確することに努めよ!と提案する。