逆風下の転職術

●ヘッドライン
失業率5%台の厳しい雇用情勢の中、転職を志す人が増えている。03年の転職希望者は10年前より19%増の6百万弱。(総務省調査)転職志向が強まる中、長期的設計に基づいたキャリアアップ転職術を探る。

●キャリアアップを図る転職のコツ
1.類似の業種か職種を選ぶ:経験を有効に生かす(即戦力)
2.能力給の導入の有無:能力評価が自身につながる

●年齢で変わる転職市場の評価
1.26歳まで
業界の知識や職務経験により、社会人としてのマナーがあるかを重視。今後のキャリア計画をどう考えるかなど、意欲を含めた潜在性をみる。

2.27歳〜34歳
同じような業界、職種の実務経験があればより良く、即戦力として働けるかが採用のポイント。30歳以上なら管理職の経験があればより良く、最低でもリーダー、チーフ級の実績が大事。

3.35歳〜39歳
実務経験と管理経験が問われる。部下に指示を出すだけでなく、企画提案業務ができる人材かどうかなどチェックする。

4.40歳以上
部長以上の経験幹部や海外現地法人立ち上げの経験者など、経験に直結する分野でどのように手腕を発揮したかが問われる。

●コメント
ものの本(できる社員はやり過ごす)によると、転職希望は職場環境に対する短期的な不満よりも、見通し(将来性)が悪いときに抱くことが分かっている。つまり、「会社を辞める」行為自体が短期的なものでなく、長期的なものに起因しているのだから、転職(新しい職につく)行為も長期的な視野を持つべきだということである。
90年以降、アメリカの好況に引きづられるように株主第一優先型の経営手法が日本の会社にも取り入れられ、結果、従業員側では年功序列雇用が崩れ、能力主義が注目されるようになった。またそれに伴い、多くの会社で人事制度(特に評価制度)が見直され、雇用マーケットでは年齢に依存しない、能力に応じた勤務・労働条件が設定されている。
アメリカのように大会社CEOの年間給与が当たり前のように数億にもなる極端な待遇は少々行き過ぎだと思う。しかしながら、能力主義を前提に給与格差を儲け、労働者自身が会社依存型でなく、キャリアを磨き上げていく個人依存型に移行することで会社業績に良い影響を与え、更には労働者が会社依存を脱却し己に自信を持つことで、社内調整、サービス残業、お付合い・・・から開放される。そして、ゆく末は個人が尊重される豊かな生活を向かえることができるのではと考えている。少なくともアメリカではこの辺りが顕著、雇用が任意の契約であることから会社に対する依存度は低く、むしろ自分のキャリアのために会社を利用しているという感覚の方が強いぐらいである。したがって、彼らは日本のような社内協調型の仕事スタイルは少なく、業績結果だけを残すことに集中しており、非常にメリハリのある職場環境となっている。
「労働環境において、日本はまだまだ成長の余地がある」と感じながらも、転職志向が高まってきていることは労働環境が発展途上から成長期に入りつつある、これが私のコメントです。