2008年までのIT市場トレンド

●IT市場ナビゲーター2004年(野村総合研究所東洋経済新報社出版)

Key Message:
☆IT主要5分野の市場規模は、02年12兆円に対し08年は28兆円に拡大。
年平均成長率=15.6%

☆年平均成長率が特に高いのは、eビジネス市場と放送市場。
年平均成長率=30%以上

■主要5分野の個別成長率と事業領域■
▽通信サービス:3.6%(02年=81,576億 08年=100,822億)
DSL,FTTH,ケーブルインターネット,公衆無線LAN,広域イーサーネット,従来型専用線サービス,IP-VPN,携帯電話

▽放送:31.0%(02年=4,120億 08年=20,843億)
BSデジタル,CSデジタル,CATV,地上デジタル

▽プラットフォーム:17.9%(02年=3,287億 08年=8,840億)
電子認証,インターネット広告,課金・決済,DRM,ネットワークセキュリティ

▽eビジネス:32.0%(02年=26,850億 08年=142,000億)
B to C市場

▽デジタルコンテンツ:25.1%(02年=2,607億 08年=10,014億)
オンラインゲーム,電子書籍,オンライン音楽配信,映像配信,eラーニング,モバイル系有料コンテンツ

■本書の見解■
上データから本書は、IT市場は成長分野と縮小分野が混在すると見解。成長分野の索引役は、ライフスタイルに浸透してきたeビジネス(B to C)と携帯向け有料コンテンツサービスを中心としたデジタルコンテンツ市場と見解。
一方、通信サービス分野はブロードバンドこそ成長力あるとしながらも、従来型の専用線の成長率はマイナスとなり、飽和状態になりつつある携帯電話も06年頃からマイナス成長になると見解。

こうした市場環境の中、IT市場における成功のカギは、

1.アクセスインフラの保有:エンドユーザにつながるアクセスインフラの保有
IP化に伴い、定額料金制度が普及し距離に依存する料金体系が崩れる中、消費者はアクセスインフラ自体に価値を感じるようになる。


2.顧客にとって主契約者となる:顧客を握り、顧客と直に接する!
技術の裾野が広がり、新技術・サービスが溢れているなか、顧客は自分でそれらを吟味・選択するのではなく、信用のおける事業者に任せたいという意向が強くなる。


3.汎用から専用へ:DRM(デジタル利用権管理)に注目せよ!
モバイル分野で成長著しいコンテンツビジネス。主要因としては、携帯電話という専用端末であったためにコンテンツの不正な流通と複製を防ぐことができ、コンテンツプロバイダーの活発な参入を促したことがあげられる。一方、PCをベースとしたインターネット分野では汎用性が災いして、著作権保護問題と利便性のバランスがあわず鈍い成長率となっている。従い、汎用性の高い機器はコンテンツサービスを享受できる端末になりえず、情報家電、ゲーム機、セットボックス等が潜在的なコンテンツサービス受給端末として注目されている。