未来を予見する5つの法則 田坂広志 著作

P160から以下引用;

社会や市場や組織において、その「矛盾」に処していくために、そして、その「矛盾」を止揚していくために、
政治家や行政官、経営者に求められる大切な心得は、何か。
かつて、文芸評論家、亀井勝一郎が、大切な言葉を語っています。
「割り切り」とは、魂の弱さである。
たしかに、この言葉通り、我々は、さまざまな「矛盾」を前に、悩み、迷うとき、しばしば「割り切り」という行為に流されてしまいます。
「まずは、経済成長がすべてだ」
「弱者の淘汰が起こるのは、仕方がない」
「利益を上げてこそ、企業だ」
そういった「割り切り」に逃げてしまいます。
しかし、本来、政治家や行政官、経営者など社内のリーダーたる人物に求められるものは目の前の「矛盾」から逃げることなく、その「矛盾」と格闘し続けることなのでしょう。
この社会に存在する様々な「矛盾」を前にその「矛盾」と正対し、それを心の中に深く持ち「割り切る」ことなく、その「矛盾」の止揚の道を求めて格闘し続けること。
それはまさに「魂の強さ」と呼ぶべき力量が営みなのでしょう。
しかし、そのことの大切さを理解するとき、我々は古くから優れた政治家や経営者などのリーダに贈られるあの言葉の本当の意味を知ります。
「器の大きな人物」
それは心の中に壮大な「矛盾」を把持し、その「矛盾」と対峙し、格闘し続けることのできる人物。
そうした人物に贈られる言葉なのでしょう。

<<終わり>>
本題とは少し異なる部分のページ(内容)ですが勉強になったのでメモまで。本内容全体も論理的に纏められていて良い本だと思います。本題のほうはもう少し読み砕いて、整理してから追記しようと思います。