仕事納め

Isao2003-12-30

本日で2003年の仕事納めだ。振り返ると今年はとにかく出張が多かった。通算23回を数え、東部はボストン、ニューヨークから中部のアイオワ、ヒューストン、西部のロスと全米中を飛び回った。これだけ数をこなすとさすがに慣れるもので、出張となれば相当な下準備に追われていた2年半前、赴任直後の自分が懐かしい。
全体としては、残念だけども絶好調とは言えない状況(景気)だ。米国のGDPは特に後半好調な伸びを示した。しかし、私が携わるIT・半導体分野については、03年は前年と横ばい程度という印象である。事実、シリコンバレーエリアではSUNを初め、未だ大幅な人員削減が進み、付き合いのあった人間の何人かはそれぞれの会社を離れた。
その中で今年は興味深い傾向を感じた。それはハイテク企業の数社が人員削減を進めるにあたり、自らの開発センターを米国外のインド、中国、ベトナムなどへ移管したことである。例えば、閲覧ソフト大手のAdobeは、本社サンノゼに配置していた開発部隊をインドに移管、それに伴い本社採用のエンジニア数百名をリストラした。
これは固定費削減を主目的とした企業努力だろう。または失業率対策を目的としたH-1ビザの大幅削減により、優秀なエンジニアを米国内で確保することが困難になったのかもしれない。しかし、どちらにせよ企業のコアとなる基礎開発までも国外へ移管することで、技術力の流出を招くのではと個人的には危惧している。日本経済がバブル崩壊後「失った10年」を過ごす間、アメリカ経済はまさに絶好調であった。そしてその好況を牽引したのは間違いなくシリコンバレーエリアと中心としたハイテク企業である。それらが見せた新たな傾向は、04年も継続されるだろうか?継続するとすれば、コア技術の流出が進むことにより、米国市場が中心だったスタータップ企業が諸外国から続々と誕生するかもしれない。そして、それらは絶対的な優位性を保ってきた米国企業(ハイテク関連)を脅かす存在になるだろう。商人としては、このような傾向を捕らえ、来年度はハイテク産業=米国というイメージを払拭し諸外国の状況把握にも努めていきたい。

さて、そろそろ机の整理でも始めますかな。(写真は整理前のデスク)